【要約】「AIvs教科書が読めない子どもたち」感想【新井紀子】

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書評

この記事ではベストセラーになった新井紀子さんの「AIvs教科書が読めない子どもたち」の感想レビューをしていきます。

僕は年間50冊の読書を目標にしていて、この本で46冊目

これからも読んで良かったおすすめの本に出会えたら、このブログで紹介していくので良ければ読んでみてください。

今回読んだこの本は、最近色々なところで聞くAIについて、世間の誤解を解いて正確な解説をしてくれており、さらには日本の子どもたちの読解力の低さについてAIと絡めて警鐘を鳴らしています。

  • AIについて正確な情報が知りたい
  • AIによって私たちの仕事がどう変わるのか知りたい
  • AIに淘汰されないように私たちはどう生きるべきか
  • 日本の学生の読解力の深刻な現状について知りたい
  • AIと学生の読解力のデータから何が問題なのか知りたい

本書を読むことでこのような事が分かります。

僕の記事で全てを説明するのは無理なので、もっと詳しく知りたいという方はぜひ本を読んでみてください。

こちらの本です▼

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著者はこんな人「AIvs.教科書が読めない子どもたち」

著者:新井紀子

  • 東京都出身
  • 一橋大学法学部・イリノイ大学数学科・東京工業大学(博士・理学)
  • 専門は数理論理学
  • 「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタ
  • 「AIvs.教科書が読めない子どもたち」が2019年ビジネス書大賞に

この方の本は初めて読みましたが、難解な表現などは無く、誰にでも読みやすい文章で分かりやすく説明してくれていました。

この本の内容をざっくり紹介

本書では、著者で数学者の新井紀子さんがAIと子どもたちの読解力の関係について、具体的な調査結果を元に考察されています。

前半では主にAIにまつわる世間の誤解について論じています。

  • AIは万能ではないこと
  • シンギュラリティは来ないこと
  • AIとはいえコンピューターであり四則演算しか出来ないこと
  • ただし最近のAIの発展はめざましく、学力で言えば上位20%(MARCHレベル)には到達していること

後半では「全国読解力調査」として、全国25000人の基礎的読解力を調査しその結果について警鐘を鳴らしています。

  • 教科書が読めない、問題文が理解できない子どもたち
  • 3人に1人が簡単な文章が読めない
  • 偏差値と読解力の関係

そしてこの本の最後では、AIの発展とそれに伴う恐怖のシナリオが描かれます。

  • AIによって半数以上の仕事が無くなる
  • 分断されるホワイトカラー
  • 引き起こされるAI恐慌
  • AIに代替されないために必要な能力とは
  • とにかく読解力を高めなければ始まらない

押さえておきたい本書のツボ3選

本当は全部読んでほしいくらいの内容の本ですが、特に大事だと個人的に思った箇所を3つに厳選して紹介していきます。

深刻な子どもたちの読解力

僕がこの本を読んで一番衝撃を受けたのは、子どもたちの読解力の深刻な現状についてです。

簡単に言うと以下のようになります。

  • 中学校を卒業する段階で約3割が内容理解を伴わない表層的な読解も出来ない
  • 学力中位の高校でも半数以上が内容理解を要する読解ができない
  • 進学率100%の進学校でも内容理解を要する読解問題の正答率は50%強
  • 読解能力と進学できる高校の偏差値との相関は極めて高い
  • 読解能力は中学生の間に平均的に向上する
  • 読解能力は高校では向上していない
  • 貧困は読解能力にマイナスの影響を与えている可能性が高い

読解力がないということは、そもそも教科書や本などの文章が読めないということです。

何を書いているのかの意味が分からず、単語だけを拾ったりなんとなくの想像で本来とは違った意味に取ってしまうこともあります。

読解力というのは受験だけではなく、仕事や日常生活においての基礎となる能力です。

こんなにも文章を読めない人が多いというのは衝撃でした。

AIが発展し教科書が読めない子どもたちが増えるとどうなるか

これからのAIの発展で淘汰されていく仕事はどんどん増えていくでしょう。

それはこれまでの歴史の比ではなく、約半数の仕事がなんらかの影響を受けると著者は言っています。

では仕事をなくした人は、別の新しい仕事にすぐに就くことができるのか?

それは難しいだろうと説明されています。

AIに出来ないことはこれからも人間がやっていきます。

しかしその「AIに出来ない事」を人間も出来ないという事実が明らかになってきたからです。

それが「意味を理解すること」すなわち「読解力」なのです。

結論、失業者が溢れ新しい仕事・新しい時代に対応できない人たちが困り果て大パニックになると言うのです。

大事なことはこれからの事を考えること

最悪のシナリオである「AI恐慌」が起こらないためにはどうすればいいのか?

それはもちろん「読解力」を鍛えることです。

しかし読解力を鍛えるために何をすれば良いのか明確な答えはありません。

それはこれから手探りで検討していくことなのです。

ちなみに著者の調査では以下のことは読解力とは相関が無いという答えになっています。

  • 塾に通うか通わないか
  • 読書の時間
  • 科目の得意不得意
  • 1日のスマホの利用時間
  • 1日の勉強時間

個人的な感覚では全部関係ありそうな気がしますが、関係はないようです。

これからは親子で、地域で、学校で子どもたちの読解力向上のためになんからの施策を取っていく必要があります。

読解力を持たない状態でプログラミングや小学校からの英語やアクティブラーニングが活用できるのか?

絵に描いた餅にならないのか?

まずは土台となる読解力から鍛えていかないといけないことは明白でしょう。

まとめ

いかがでしょうか?

本書はこの記事で書いたようにとても読み応えがあり、色々と考えさせられる内容でした。

2019年ビジネス書大賞というのも伊達じゃなく、周りの人におすすめしたい「読んで良かった本」でした。

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