先日ニュースで公務員の定年延長という話を聞きました。始まる時期や年収はどうなるのか等、詳しい内容を知りたいです!
このような疑問を持つ方はいませんか?
この記事では公務員の定年延長についてポイントを絞って簡潔に解説していきます。
この記事を読むことで、
このような事が分かるというメリットがあります。
ぜひ気になるところだけでも読んでみてください!
※2020.5.23追記(重要)
【結論】公務員の定年延長のポイントをまとめた
ここだけは知って欲しい!というポイントを下記にまとめました。
少子化が進み、労働力人口が減少する中、60歳を超えても意欲のある高齢者の活躍の場を設けることは社会的な課題となっています。
また年金受給開始年齢はどんどん引き上げられ、定年から年金受給までの間に無収入となってしまう問題もあります。
このような背景の中、公務員の定年が60歳から段階的に65歳へと引き上げられるということになりそうです。
まずは国家公務員からスタートしますが、地方公務員も同じようにするでしょうし、そこから徐々に民間企業へも波及していくと思われます。
それでは各ポイントをさらに深堀りしていきます。
公務員の定年延長はいつから始まるの?
公務員の定年延長がスタートするのは2022年からです。
当初は2021年と言われていましたが、先送りされ2022年からになりました。
いきなり60歳から65歳へと延長するのではなくて、段階的に61歳、62歳・・・と引き上げられます。
どのようなペースで引き上げられるかは、まだ決まっていません。
2年に1歳ずつとする案と3年に1歳ずつとする案があるようです。
※追記(2020・3・15)
定年延長により年収は約3割減
気になるのは年収の部分ですが、60歳を超えるとざっくり3割減となるようです。
仮に59歳で年収1000万だとしたら60歳以降は700万くらいになります。
これまでも公務員は60歳を超えると再任用職員として働くことができましたが、年収で言うと半減する場合も多かったようです。
それほど急激に年収が下がると労働意欲が減退するという問題もあり、今回は70%くらいは維持できるようにしようと言う考えらしいです。
公務員の「役職定年制」とは?
「役職定年制」という制度も導入されます。
この制度は何かというと、管理監督職員(管理職)の人を60歳以降は他の官職に降任または転任させることです。
これを「任用換」と言います。
ただし例外はあり、必ずしも全員が管理職を外されるというわけではありません。
ちなみに管理職というのは以下の役職のことを言います。
- 機関の長
- 局長
- 審議官
- 部長
- 課長
これらの人たちが「任用換」により非管理職の「専門スタッフ職」や「課長補佐級ポスト」につくようになります。
フルタイム勤務か短時間勤務かを選択可能になる
定年が65歳になったからと言って必ずフルタイムで65歳まで働かないといけないわけではありません。
中には60歳の定年を楽しみにして、60歳以降は仕事以外の事に多くの時間を使いたい人もいるでしょう。
もしくは介護などの家庭の事情で長時間働くことが困難な人もいるかもしれません。
そのような人のために「定年前の短時間勤務制度」が導入されます。
この制度を使うと60歳以降に退職し、「定年前再任用短時間勤務職員」として定年まで働くことが出来ます。(週15時間30分~31時間)
多様な働き方が可能になるのです。
再任用職員との違いは?
これまでも公務員には再任用職員というものがありました。
それでは定年延長と再任用職員との違いは何なのでしょうか?
それを説明します。
まずは再任用職員数の推移を見てみましょう。
2013年 | 約6900人 |
2014年 | 約8700人 |
2016年 | 約11200人 |
2018年 | 約13300人 |
このように急激に増えています。
ちなみに約80%が短時間勤務職員です。
中にはもっとフルタイムで働きたいという人もいるようですが、現状では再任用されても短時間勤務で働くことが多いのです。
この点やこれまでの記事の内容を踏まえて再任用職員と定年延長の違いを箇条書きにしてみます。
- 再任用職員の場合は年収が大幅ダウン、定年延長の場合は3割程度の減少
- 再任用職員の場合は約8割が短時間勤務になる、定年延長の場合はフルタイムか短時間勤務かを選択可能
- 再任用職員の場合は定年後はかつての部下が上司となる場合もあり、定年延長の場合は専門スタッフ職として経験が活かせる仕事もある
そして、定年延長により65歳定年となると、再任用制度は廃止となる模様ですが、引き上げ期間中は存置される見込みです。
公務員の定年延長により若者への影響はどうなる?
これから公務員試験を受けようという若者に取って、どのような影響があるのでしょうか?
一番気になるのは採用数の増減だと思いますが、一応「定年の引き上げ期間中も真に必要な規模の新規採用を計画的に継続できるように措置」とあります。
が、実際のところどうなるかは分かりません。
普通に考えて定年延長によって、採用数は少なくなりそうですよね。
そして出世ポストがどうなるかも気になるところです。
役職定年制が導入されるとはいえ、例外もありますし、蓋を開けてみないと分からない部分ではあります。
さらに今20代の人が公務員になったとして、一体何歳まで働かないといけないのか?
このまま定年が65歳で固定なんてことはまずないでしょう。
これからさらに定年年齢は引き上げられていく事は容易に想像できます。
あとは退職金に関してはどうなるのかということも非常に気になります。
未来のことは分からないし予想するしかないですが、まあ増えるという事はないでしょう。
現時点でも公務員の退職金は昔に比べてかなり減っているのですから。
こうして考えると若者に取っては暗い気持ちになる話かもしれません。
定年延長までの経緯【急に出てきた話なの?】
いきなりこんなニュースを聞いてびっくりした人もいるかもしれませんが、公務員の定年延長に関してはかなり前から議論されてきた話のようです。
簡単に定年延長の議論の経緯を紹介します。
- 2008年、「国家公務員制度改革基本法」で定年を段階的に65歳まで引き上げることについて政府で検討する旨を規定
- 2011年、人事院が国会及び内閣に対し、定年延長が適当とする意見の申し出
- 2017年、「公務員の定年の引き上げについて具体的な検討を進める」と閣議決定
- 2018年、政府は公務員の定年延長について検討した結果、適当とし、人事院に対し「検討を要請」
- 2018年、「公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる方向で検討する」と閣議決定
民間企業の定年延長の現状について
ざっくり言うと、民間では2割の企業が65歳に定年延長して、8割の企業が雇用継続制度を導入しています。(定年廃止は約2%)
また、政府は現在70歳までの雇用確保を企業に求める法案を提出しています。
高齢者が希望したら70歳まで働けるようにする制度を2021年4月から始まるように整えることが努力義務となっています。
- 1998年まで・・・定年55歳
- 1998年から・・・定年60歳
- 2013年から・・・希望者全員の65歳までの雇用義務化
外国の定年制度ってどうなの?
外国でも定年制度は大きく動いています。
例えばドイツとフランスでは段階的に定年を67歳にすることが決まっています。
また、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドでは定年制を廃止となりました。
このように定年制度を延長したり廃止するのは少子高齢化が進む先進国で加速しているのです。
少子高齢化がそこまで進んでいないマレーシアなどでも定年の年齢は少しずつ上がっています。(55歳→60歳)
同じようにタイでも55歳→60歳へ。
【悲報】公務員の定年延長法案、廃案へ
2020年5月22日、国家公務員法改正案が廃案の方向で検討されていると報道されました。
今後どうなるかはまだ分かりませんが、注意して動向を追っていこうと思います。
理由は「コロナで雇用悪化」という話です。
また、検察庁法改正案や賭けマージャン問題で批判が続出したことも理由の一つと言われています。
まとめ
いかがでしょうか?
公務員の定年延長についてまとめてみました。
少子高齢化と人手不足を背景に日本社会も加速度的に「生涯現役社会」の様相を呈してきました。
僕の住む地方都市でも、ここ数年で高齢者の方が働いている姿を見かけることが急激に増えてきています。
今後は公務員が旗振り役となって、定年延長をして、それが民間企業へも波及していく流れになると予想しています。
仕事がなくて老後破産なんてことよりはマシですが、それにしても一体いつまで働けば良いのか?
「老後はゆっくり趣味を楽しむ」なんて事はもはや過去の幻想なのかもしれません。
今後も公務員及び民間企業の定年延長については定期的にチェックしていこうと思います。
ではまた!
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